「おい、どうした?眠いなら、ちゃんとベッドで寝ろよ」
ぼんやりと落ち込んでいると、央雅くんが私の顔を覗き込んできた。
目の前の整った顔に、夕べ以上に驚いてしまう。
何度か触れ合った唇が、近くにありすぎて、落ち着いていた脈も激しくなる。
とくとく…とくとく…。
思わず央雅くんにも聞かれそうな激しい音に溢れる体が一瞬にして熱くなるし…。
後ずさる体がふわふわ浮いてる…ようなおかしな感覚。
「…寂しいって、顔に出てるぞ」
くくっと笑う意地悪な表情は、私の傍から離れることなくそのまま近づいてきた。
え?っと戸惑う間もなく、唇に感じる央雅くんの熱。
啄むだけの軽いキスを何度か繰り返して、ふっと軽い吐息を残して。
「わかりやすいな。…芽依ちゃんと一緒だな…」
そんな呟きのあと、もう一度軽く触れて。
「今晩はバイト入ってないんだろ?ちゃんと早く帰るんだぞ」
「え、なんでそれ知ってるの…?」
「瞳さん…加賀さんね。聞いてるから」
「…どうして…?」
「さあ、どうしてだろうね。今日は俺がバイトで迎えに行けないしちょうどいいな」