揺れない瞳

最初は啄むように唇をさまよっていた央雅君の唇だけど、私が拒否しないのがわかったせいか、どんどん深いものに変わっていった。

どうついていけばいいのかも、呼吸の仕方もわからない私は必死で。
央雅君がキスの角度を変える一瞬に溺れるように息をした。
その瞬間、口元が緩んだ隙を狙ったかのように舌が入れられて。

「ん…っ」

思わず央雅君の背中に回していた手でシャツを掴んだ。
ぐっと抱き寄せられている体には逃げたり顔をそらすような自由はなくて、央雅君の思うが儘に私の口は探られた。

何もかも初めてで、何をどう反応していいのかわからないはずなのに、気付けば。

央雅くんに誘導されるように舌を絡めて、その熱に浸っている。
ゆっくりと侵されるままに、体中から気力もなくなって、自分の力だけでは立つこともできない。
きっと、今央雅君がわたしの体を離したら、床に崩れ落ちるだろうな…。

思いがけず落ち着いてる自分を発見して、不思議な気持ちも感じながら、央雅君の熱に思うがままに振り回されながら。