「そう言えば、俺らの成人式って来年の一月じゃないか?
今年もう済ませたっておかしくない?」
「あ…それは…」
不意に、央雅くんから聞かれた言葉に、思わず口ごもってしまった。
私と央雅くんは同じ学年だから、普通なら、一緒に成人式を迎える。
だから、央雅くんが疑問に思うのは自然な流れだ。
あらゆる事に神経質になってしまう私なのに、時々大切な事を忘れてしまう事がある。
この成人式の写真だって、央雅くんに見せない方が良かったかもしれないのに。
写真を見る度に幸せになる感情の方が勝ってしまって、気を回すべき事にも気付かずにいた。
「もしかして、浪人したのか?…え?俺より年上?」
信じられないとでもいうような驚きに満ちた声で、央雅くんは私をじっと眺めてる。
「年上…?…ウソだろ?」
「あの、実は…年上です。これでも…」
まじまじと私を見つめる央雅くんの目には、相変わらず疑り深い色が浮かんでいて、まるで私が年上なんて信じないっていうように。
どことなく面白がるような感情も見え隠れさせながら。
「ふうん。浪人かあ…大変だったんだな」
「入りたい大学を目指してたから、それほど大変じゃなかったんですよ」
「へえ。それで、入りたい大学には入れたの?」
「はい。今通ってます」
央雅くんに何を聞かれても、緊張感からか丁寧な言葉づかいで答えてしまう。
央雅くんが今この部屋にいることに舞い上がる自分をひしひしと感じて情けなくなる。
そして、男の人との付き合いに慣れてない自分が、嫌で仕方ない。

