ようやく落ち着いた私の様子を見て、央雅くんは優しく笑いながらもからかうように。
「芽依ちゃんと同じだな」
「え?芽依さん……?」
「泣いて感情を閉じ込めるのがうまいってとこ、昔の芽依ちゃんに似てる」
何かを思い出すように、少し遠くを見ながら呟いてる。
決して楽しかった過去を思い出してる訳じゃなさそうで、口元は厳しく結ばれていて。
「どうして自分だけで抱え込むんだろうって、俺がいるのにって……いつも……」
今までに何度も自問したんじゃないかと思える口調でつらそうな声が小さく響く。
どちらかといえば整った顔と心地好い明るい性格に見える央雅くんの、ひどく落ちてる表情は意外で、相変わらず膝の上に座ったままの私はどう言葉を返していいのかもわからない。
同時に…近すぎるお互いの距離を改めて実感して、一気に脈拍は速くなるのを感じる。
すぐにでも触れてしまいそうなお互いの唇に気づいた途端、焦った体はぐんと熱を持って……。
落ちてる央雅くんの様子を気にしながらも、自分のそんな焦りがばれないかって事に意識は飛んでしまった。

