揺れない瞳



翌日の朝。

新年を央雅くんの家族と迎えた。

大晦日の朝から央雅くんのお母さんとおせち作りを手伝ったり働いていたせいか、夕べは年が明けた途端に眠くなった。

『明けましておめでとうございます』

みんなで挨拶を交わした早々、いつも使わせてもらっている芽依さんの部屋で眠りについた。

父さんからの電話にも驚いたし、心身ともに疲れ切っていた私は、央雅くんが起こしにくるまで熟睡。

慌てて起きると、既にお雑煮も出来上がっていた。

本当なら手伝わなきゃいけないのに、何もできなかった……。

おまけに、みんなで初詣に行こうという事になっても

『すみません。父さんの家に行こうと思ってるので……』

そう言って謝るしかなかった。
いつも私を可愛がってくれる央雅くんの家族に何度も頭を下げながら、私も一緒に初詣に行きたいなという気持ちも感じていた。

央雅くんだって、いっきに不機嫌になってるし、そんな央雅がくんを見てご両親は笑いをこらえてるし。

本当に、申し訳ない。

でも、夕べの父さんからの電話を思い出すと、父さんの家に行った方がいいと思う。

私を求めてくれる父さんの声の威力は半端なものじゃなかったんだ。