「結乃?父さんだけど」
「あ、うん」
この間会って話してから、何度か電話をくれるのに、父さんが私の様子を気にしながら遠慮がちに話すのはいつもの事。
なかなか気安く話してくれない……のは私も同じでお互い様。
やっぱりまだ気持ちをほぐして話す事は難しい。
それでも少しずつ距離を縮めていこうと、努力をしているのもお互い様で、この年になってようやく健全な親子関係を構築しようと頑張ってる。
「もうすぐ今年も終わるな……」
「そうだね。除夜の鐘、聞こえるもんね」
「ああ、だな。テレビの音でしか聞こえないけどな」
「私もそうだよ。一度は自分で鐘を鳴らしてみたいって思ってるんだけど」
「じゃあ、来年は……一緒に……」
父さんの声が途切れた。何を言おうとしているのか、なんとなくわかる。
「一緒に、行けるかな」
私はふふふっと笑いながら、答えた。
リビングのソファに座って、携帯の向こう側にいる父さんに意識を向けると、
少し照れくさくなる。まだ、父さんと素直に話す事に慣れてないから。
俯く私の視界の端に、すっと入ってきた足元。そっと見上げると、央雅くんが気遣わしげに私を見ていた。
小さく首を傾げながら、ただ黙って私の言葉に耳を澄ましている。
『父さんから』
口パクでそう告げると、央雅くんは小さく頷いて私の横に腰掛けて、膝の上の私の右手をそっと握ってくれた。
「あ、うん」
この間会って話してから、何度か電話をくれるのに、父さんが私の様子を気にしながら遠慮がちに話すのはいつもの事。
なかなか気安く話してくれない……のは私も同じでお互い様。
やっぱりまだ気持ちをほぐして話す事は難しい。
それでも少しずつ距離を縮めていこうと、努力をしているのもお互い様で、この年になってようやく健全な親子関係を構築しようと頑張ってる。
「もうすぐ今年も終わるな……」
「そうだね。除夜の鐘、聞こえるもんね」
「ああ、だな。テレビの音でしか聞こえないけどな」
「私もそうだよ。一度は自分で鐘を鳴らしてみたいって思ってるんだけど」
「じゃあ、来年は……一緒に……」
父さんの声が途切れた。何を言おうとしているのか、なんとなくわかる。
「一緒に、行けるかな」
私はふふふっと笑いながら、答えた。
リビングのソファに座って、携帯の向こう側にいる父さんに意識を向けると、
少し照れくさくなる。まだ、父さんと素直に話す事に慣れてないから。
俯く私の視界の端に、すっと入ってきた足元。そっと見上げると、央雅くんが気遣わしげに私を見ていた。
小さく首を傾げながら、ただ黙って私の言葉に耳を澄ましている。
『父さんから』
口パクでそう告げると、央雅くんは小さく頷いて私の横に腰掛けて、膝の上の私の右手をそっと握ってくれた。

