「やっぱり、私は両親から捨てられたみたい」
「……は?」
「ふふっ。そうなの」
ふふって、何なんだ?そんな明るい笑顔で言う言葉か?
俺の部屋のソファに浅く腰掛けている結乃の様子を見ていると、俺の心の中に驚きと、安堵とが交互によぎる。
結乃からの連絡を待っている間心配していた俺の気持ちをあっけなく吹き飛ばすような結乃の声に、どう答えていいのかと、言葉も出ないまま戸惑った。
「私が父さんの娘じゃないって、母さんから、そう聞かされたんだって」
「え?娘じゃないって……じゃ、結乃は一体誰の……」
「あ、ちゃんと父さんの娘だよ。血が繋がってる本当の娘。
ただ……離婚する時に、母さんが父さんにそんな嘘を言ったんだって」
膝の上に置いた両手をじっと見つめて、小さく呟く声には、湿っぽさもなくさらっとしたものだけど、口元が震えている気がした。
「母さんね、嘘をついてでも私を引き取りたかったんだって」
「嘘って……」
結乃が淡々と話してくれる内容は、予想外の事ばかりだった。
結局、結乃の母親は結乃を引き取りたいという理由で嘘をついた。
その嘘を信じた父親は、結乃を引き取る事を諦めた。
だけど、本当の子供かどうかなんて当時の医学でも検査をすれば判断できたはずなのに、どうしてそれをしなかったんだ。
結乃の父親が誰なのかをはっきりさせない限り、離婚する事にも支障はあったと思う。
結乃の父親は、心の中では正真正銘自分が本当の父親だと気づいていたのに、母親がついている嘘を信じた振りをして結乃を手離した、という過去の真実。
結乃が今日聞かされた父親の本心に、俺は今すぐ父親を殴ってやりたい感情に囚われた。
まだ若くて、おまけに会社を継ぐ為の勉強を始めていた事も重なって。
結乃を引き取って育てる事に強い不安を抱いていたらしい。
引き取ってもちゃんと可愛がれる自身もなかった結乃の父親は、自分の妻がついている嘘を信じている振りをして、泣く泣く結乃を手離したという演出をしながら、結乃を捨てた。
そんな悲しい過去を、父親から聞かされた結乃は、どれほど傷ついただろうか。
「……は?」
「ふふっ。そうなの」
ふふって、何なんだ?そんな明るい笑顔で言う言葉か?
俺の部屋のソファに浅く腰掛けている結乃の様子を見ていると、俺の心の中に驚きと、安堵とが交互によぎる。
結乃からの連絡を待っている間心配していた俺の気持ちをあっけなく吹き飛ばすような結乃の声に、どう答えていいのかと、言葉も出ないまま戸惑った。
「私が父さんの娘じゃないって、母さんから、そう聞かされたんだって」
「え?娘じゃないって……じゃ、結乃は一体誰の……」
「あ、ちゃんと父さんの娘だよ。血が繋がってる本当の娘。
ただ……離婚する時に、母さんが父さんにそんな嘘を言ったんだって」
膝の上に置いた両手をじっと見つめて、小さく呟く声には、湿っぽさもなくさらっとしたものだけど、口元が震えている気がした。
「母さんね、嘘をついてでも私を引き取りたかったんだって」
「嘘って……」
結乃が淡々と話してくれる内容は、予想外の事ばかりだった。
結局、結乃の母親は結乃を引き取りたいという理由で嘘をついた。
その嘘を信じた父親は、結乃を引き取る事を諦めた。
だけど、本当の子供かどうかなんて当時の医学でも検査をすれば判断できたはずなのに、どうしてそれをしなかったんだ。
結乃の父親が誰なのかをはっきりさせない限り、離婚する事にも支障はあったと思う。
結乃の父親は、心の中では正真正銘自分が本当の父親だと気づいていたのに、母親がついている嘘を信じた振りをして結乃を手離した、という過去の真実。
結乃が今日聞かされた父親の本心に、俺は今すぐ父親を殴ってやりたい感情に囚われた。
まだ若くて、おまけに会社を継ぐ為の勉強を始めていた事も重なって。
結乃を引き取って育てる事に強い不安を抱いていたらしい。
引き取ってもちゃんと可愛がれる自身もなかった結乃の父親は、自分の妻がついている嘘を信じている振りをして、泣く泣く結乃を手離したという演出をしながら、結乃を捨てた。
そんな悲しい過去を、父親から聞かされた結乃は、どれほど傷ついただろうか。

