「愛子は、俺が結の母親と離婚していることも、結の存在も全て理解してくれているんだ。だから遠慮しなくて大丈夫だぞ。一緒に暮らしてもいいって愛子も言ってるんだ」
「あの……えっと、いきなり一緒に暮らすって言われても」
「俺にとってはいきなりなんかじゃないんだ。何度も戸部先生に相談して、ずっとそうしたいって思ってた」
ほんの少し前までのぎこちない口調とはうってかわって、今父さんの口からすらすらと出てくる言葉には何のためらいも遠慮もない。
昨日今日思いついただけの思いではないんだとわかって、父さんの気持ちの強さがわかる。
一緒に暮らしたいと、今初めて言われたわけではなくて、何度か戸部先生からもその父さんの思いは伝えられていたけれど。
そのたびに聞き流していたせいか、改めて直接聞かされる言葉はまるで初めて私の胸に響くように感じる。
「私は……今までそんな事考えた事もないし……」
「ああ、今まで結を一人にしたまま寂しい思いをさせて、申し訳なかった。
本当なら、もっと早く結と一緒に暮らすべきだったんだよな。
これからでも、俺は結の事を幸せにしてやりたいんだ」
「って突然言われても……」
「今更だけど、父親としての愛情を結に与えなかった時間を取り戻させてくれないか?奈々子が放棄した母親としての愛情も含めて、結に与えられるだけの愛情を注がせてくれないか?」
テーブルを挟んでいるのに、まるで肌が触れ合うくらいの距離にいるのかと錯覚しそうなくらいに強い口調。
私を射る父さんの視線には、決して諦めないとでもいうような決意が満ちている。
父さんの気持ちが痛いほど伝わってきて、戸惑いよりも嬉しさの方が大きい。
これまでの私の人生で、ここまで誰かから自分自身を求められたことなんてなかったから、たまらなく嬉しい。
本当なら、幼い頃にあたりまえのように与えらえるはずだった親からの愛情を、大人になってようやく感じる事ができた。
嬉しいに決まってる。
でも。
「父さんの気持ちは本当に嬉しいけど、一緒には暮らせません」
父さんが傷つかないように、そっとそう告げるしかできない。
「あの……えっと、いきなり一緒に暮らすって言われても」
「俺にとってはいきなりなんかじゃないんだ。何度も戸部先生に相談して、ずっとそうしたいって思ってた」
ほんの少し前までのぎこちない口調とはうってかわって、今父さんの口からすらすらと出てくる言葉には何のためらいも遠慮もない。
昨日今日思いついただけの思いではないんだとわかって、父さんの気持ちの強さがわかる。
一緒に暮らしたいと、今初めて言われたわけではなくて、何度か戸部先生からもその父さんの思いは伝えられていたけれど。
そのたびに聞き流していたせいか、改めて直接聞かされる言葉はまるで初めて私の胸に響くように感じる。
「私は……今までそんな事考えた事もないし……」
「ああ、今まで結を一人にしたまま寂しい思いをさせて、申し訳なかった。
本当なら、もっと早く結と一緒に暮らすべきだったんだよな。
これからでも、俺は結の事を幸せにしてやりたいんだ」
「って突然言われても……」
「今更だけど、父親としての愛情を結に与えなかった時間を取り戻させてくれないか?奈々子が放棄した母親としての愛情も含めて、結に与えられるだけの愛情を注がせてくれないか?」
テーブルを挟んでいるのに、まるで肌が触れ合うくらいの距離にいるのかと錯覚しそうなくらいに強い口調。
私を射る父さんの視線には、決して諦めないとでもいうような決意が満ちている。
父さんの気持ちが痛いほど伝わってきて、戸惑いよりも嬉しさの方が大きい。
これまでの私の人生で、ここまで誰かから自分自身を求められたことなんてなかったから、たまらなく嬉しい。
本当なら、幼い頃にあたりまえのように与えらえるはずだった親からの愛情を、大人になってようやく感じる事ができた。
嬉しいに決まってる。
でも。
「父さんの気持ちは本当に嬉しいけど、一緒には暮らせません」
父さんが傷つかないように、そっとそう告げるしかできない。

