揺れない瞳

それから、結乃を俺の家に初めて連れて帰った。

何度か結乃の部屋で過ごしたことはあったけれど、俺の部屋でぎこちなくしている結乃を見るのは初めてで、その可愛い様子に俺の頬は緩みっぱなしだ。
きょろきょろと部屋を見回す結乃は、緊張しているようにも見えて嬉しくなる。

『男の人の部屋は初めてだから……』

と照れながらうつむく様子ですら新鮮で、もっと早くこの部屋に連れてくれば良かったなと思ってしまう俺は、どこまで結乃にはまってるんだろう。

部屋の真ん中に置いている小さなテーブルの前にちょこんと座っている結乃の前にコーヒーを置くと、赤い顔で笑って

「ありがとう……」

と小さな声を落とした。
いくら男の部屋が初めてでも、二人っきりで過ごすなんて初めてじゃないのに、緊張し過ぎだろ。
結乃の部屋で二人で過ごす時にはここまで緊張していないのにな。

「楽にしていいから。別に、この部屋で結乃をどうこうしようって思ってないし」

結乃の気持ちをほぐそうと、明るく言う俺に軽く頷いたけれど、結乃の表情は赤いままだ。

「下には芽依ちゃんも夏基さんもいるんだし、何もしないよ。
……あ、もしいなくても、結乃が嫌がる事はしないから、もっと楽にして」

「うん。あ……夏芽ちゃんがお昼寝から覚めたら一緒に遊んでもいいかな」

「いいよ。最近大きくなったから相手するのも大変だけどな」

じっとすることなく動き回る暴れん坊のお姫様に、最近の芽依ちゃんは振り回されっっぱなしで疲れてるようだけど、それでも幸せそうにしている。