結局、クリスマスだからと言って俺たちの支払いも済ませてくれた母さんと父さんは、揃って仕事に行った。
総合病院の勤務医である母さんと、違う病院で研究を続けている父さんには、カレンダー通りの休日は滅多にない。
特に、子供が大きくなって手が離れている今の状況では、休日の出勤が多く回ってくるらしい。
俺が小さい頃だって、それほど休みを取っていた記憶はないけれど、今もかなりの働き者だ。若くないんだから、ゆっくりして欲しい気持ちもあるけれど、きっと二人には医師として過ごす時間が生きがいなんだろうな。
「忙しいんだね。……でも、すごく仲が良さそうで羨ましい」
「そうだな。忙しいのは昔から。仲がいいのも昔からだな。たまに二人一緒に休みがとれたら俺と芽依ちゃんは放ったらかしで二人仲良く出かけてたよ」
そんな記憶がよみがえってきて、苦笑してしまう。
お互いにお互いを愛して求めている、深い絆で結ばれている二人が羨ましくて仕方ない。
「俺も、将来あんな夫婦になって、幸せに過ごしたいって思うけど。
きっと、忙しくて休みがなかなか取れないっていうのも、あの二人と同じだと思うんだ」
「……」
「まだまだ医者として生きていくまでにはかなりの時間がかかると思うけど、将来は絶対に医者になりたいから、その忙しさも覚悟してる。
だから、俺の側にいてくれる大切な人にもその覚悟はしてもらわないとって思ってるんだ……。 結乃、今から覚悟しておいて」
「え?」
両親の忙しさと、愛し合う姿を見ながら育ってきた俺が、そんな覚悟を自分と恋人に求めるのは自然な事で、昔から漠然と心の中に秘めていた。
それを口にして、恋人に求めた事は今までないけれど、結乃だけは手離すつもりもないから。
「まだまだ時間はあるから、ゆっくりでいいから覚悟しておいて。
どんなに忙しくても、会える時間が限られても。
結乃をずっと大切にするから、俺の側にいてくれ」
こんな甘い台詞、本当に自分が言っているんだろうかと、まるで他人が話す言葉を聞いているようだけれど、自然に出てくる気持ちは、そのまま俺の本当の気持ちに違いない。
どうしてこんなに急に気持ちが結乃に持っていかれたのかも、俺が本当に結乃を幸せにできるのかもわからない。
それでも、俺には結乃がいない将来は考えられないから。
「この、お揃いの指輪に誓って。大切にする」
左手の薬指に光る指輪に、そっと口づけて、将来を誓った。
その瞬間、結乃の目は大きく開いて、あっという間に涙が零れ落ちた。
そして、ぎこちなく小さく頷くと。
「私で良ければ……」
結乃は震える指を口元に寄せると。
俺と同じように、そっと、指輪に口づけた。
総合病院の勤務医である母さんと、違う病院で研究を続けている父さんには、カレンダー通りの休日は滅多にない。
特に、子供が大きくなって手が離れている今の状況では、休日の出勤が多く回ってくるらしい。
俺が小さい頃だって、それほど休みを取っていた記憶はないけれど、今もかなりの働き者だ。若くないんだから、ゆっくりして欲しい気持ちもあるけれど、きっと二人には医師として過ごす時間が生きがいなんだろうな。
「忙しいんだね。……でも、すごく仲が良さそうで羨ましい」
「そうだな。忙しいのは昔から。仲がいいのも昔からだな。たまに二人一緒に休みがとれたら俺と芽依ちゃんは放ったらかしで二人仲良く出かけてたよ」
そんな記憶がよみがえってきて、苦笑してしまう。
お互いにお互いを愛して求めている、深い絆で結ばれている二人が羨ましくて仕方ない。
「俺も、将来あんな夫婦になって、幸せに過ごしたいって思うけど。
きっと、忙しくて休みがなかなか取れないっていうのも、あの二人と同じだと思うんだ」
「……」
「まだまだ医者として生きていくまでにはかなりの時間がかかると思うけど、将来は絶対に医者になりたいから、その忙しさも覚悟してる。
だから、俺の側にいてくれる大切な人にもその覚悟はしてもらわないとって思ってるんだ……。 結乃、今から覚悟しておいて」
「え?」
両親の忙しさと、愛し合う姿を見ながら育ってきた俺が、そんな覚悟を自分と恋人に求めるのは自然な事で、昔から漠然と心の中に秘めていた。
それを口にして、恋人に求めた事は今までないけれど、結乃だけは手離すつもりもないから。
「まだまだ時間はあるから、ゆっくりでいいから覚悟しておいて。
どんなに忙しくても、会える時間が限られても。
結乃をずっと大切にするから、俺の側にいてくれ」
こんな甘い台詞、本当に自分が言っているんだろうかと、まるで他人が話す言葉を聞いているようだけれど、自然に出てくる気持ちは、そのまま俺の本当の気持ちに違いない。
どうしてこんなに急に気持ちが結乃に持っていかれたのかも、俺が本当に結乃を幸せにできるのかもわからない。
それでも、俺には結乃がいない将来は考えられないから。
「この、お揃いの指輪に誓って。大切にする」
左手の薬指に光る指輪に、そっと口づけて、将来を誓った。
その瞬間、結乃の目は大きく開いて、あっという間に涙が零れ落ちた。
そして、ぎこちなく小さく頷くと。
「私で良ければ……」
結乃は震える指を口元に寄せると。
俺と同じように、そっと、指輪に口づけた。

