俺が関知しない間に、いつの間にか強い気持ちを持てる女に変化していた結乃。
コンパの時には俯いて、俺以外の男とはほとんど話す事もなかった彼女が、強くなっていた。
バイト先の男と笑って話せるようになって、父親ともちゃんと会うと決めた結乃の気持ちの流れの中に、俺の影響なんてないに違いない。
きっと、自分が作ったウェディングドレスが最終審査まで残って、多くの人の目にさらされて、自分に自信がついたことがきっかけだ。
小さな世界に閉じこもって、生まれてからずっと抱えていた寂しさや切なさだけに囚われていた自分を解放しようと、自分から動いたんだ。
そんな結乃の変化は、来るべくして来た変化で、これからはもっと加速して強くなっていくと思える。
そして感じるのは、俺自身の存在意義だ。
「自分の本心を認めて、自分が生きやすいように変化していく結乃にとっては、俺が側にいる事がプラスになるのかどうか、わからない。
それもあって、結乃の気持ちにすぐには応えられなかったけど、今はもう、結乃の成長とか幸せなんか関係なく、ただ好きだから。
俺から離れるっていう結乃の選択肢は、なくすから」
こんな言葉すら、ためらう事なく口に出せる俺は、心底結乃に夢中だ……。

