芽依ちゃんは、かなりの時間を割いて俺の面倒を見てくれた。
仕事で忙しい両親に代わって、俺の生活が順調に進むよう気を配り愛情を注いでくれた。
小さな頃は、そんな芽依ちゃんが単純に大好きで、いつも嫌な顔をせずに相手をしてくれる芽依ちゃんに甘えていた。
けれど、俺が両親と過ごす時にどこか距離を置いて、寂しげな表情を見せる芽依ちゃんに気づくようになった。
四人で笑い合って、楽しそうに話している芽依ちゃんがふと見せる不安定な表情は、俺にとっては不可解なものだった。
子供の俺が理解できる範疇を超えた、複雑な気持ちが芽依ちゃんの中にあるとわかっても、それを直接芽依ちゃんに聞くことはできなかった。
俺が大きくなり、両親が結婚に至るまでの人生や、芽依ちゃんと巧さんの過去を知っていくにつれて、芽依ちゃんの気持ちも理解できるようにはなったけれど。
それは同時に、俺が自分の存在に疑問を抱く、重苦しい時間の始まりだった。
家族として暮らす佐伯家には、芽依ちゃんが居心地良く過ごせる場所はなかった。
俺と両親の輪の中に、自分の居場所を見つけられなかった芽依ちゃん。
そんな芽依ちゃんが、切ない思いで家を出た一番の原因は、きっと俺の存在があったからに違いない。
だから俺は、芽依ちゃんが幸せになる事だけを願って生きてきたんだ。
仕事で忙しい両親に代わって、俺の生活が順調に進むよう気を配り愛情を注いでくれた。
小さな頃は、そんな芽依ちゃんが単純に大好きで、いつも嫌な顔をせずに相手をしてくれる芽依ちゃんに甘えていた。
けれど、俺が両親と過ごす時にどこか距離を置いて、寂しげな表情を見せる芽依ちゃんに気づくようになった。
四人で笑い合って、楽しそうに話している芽依ちゃんがふと見せる不安定な表情は、俺にとっては不可解なものだった。
子供の俺が理解できる範疇を超えた、複雑な気持ちが芽依ちゃんの中にあるとわかっても、それを直接芽依ちゃんに聞くことはできなかった。
俺が大きくなり、両親が結婚に至るまでの人生や、芽依ちゃんと巧さんの過去を知っていくにつれて、芽依ちゃんの気持ちも理解できるようにはなったけれど。
それは同時に、俺が自分の存在に疑問を抱く、重苦しい時間の始まりだった。
家族として暮らす佐伯家には、芽依ちゃんが居心地良く過ごせる場所はなかった。
俺と両親の輪の中に、自分の居場所を見つけられなかった芽依ちゃん。
そんな芽依ちゃんが、切ない思いで家を出た一番の原因は、きっと俺の存在があったからに違いない。
だから俺は、芽依ちゃんが幸せになる事だけを願って生きてきたんだ。

