不安な色が浮かんでいるかもしれない私の瞳を、一瞬驚いたように見たあと、央雅くんはくすりと笑った。
その笑顔に、思いがけずどきりとしてしまう。
「聞いたのは、大学で何を専攻してるかだけど、サークルとかやってるならそれも教えてよ」
丁寧な声音に、ほんの少し距離が近くなった気がする。
どう見ても整っている顔と、細身で長身な見た目に自分とはかけ離れた毎日を過ごしているように思っていたけれど、そうではないのかもしれない。
まっすぐに私を見てくれる瞳には、私が近くにいても大丈夫だっていう安心感も感じる。
「大学では、被服の勉強をしてるの。昔からお勉強はそれなりにしかできなかったけど洋裁とか編み物は得意だったから。
…ていうか、それしかできなくて。
今は毎日好きな事を勉強できて楽しくて仕方ないの」
「へえ、被服か。じゃ、洋服とかも作ってたりする?」
「はい。今は買った方が安いものもあるけど、作る過程も楽しいから。
あ…こないだ夏芽ちゃんにも防寒用の上着を作ってプレゼントしました」
「そうなんだ。最近会ってないから俺の事忘れてるだろうな…」
「すっごく可愛くて、今は帽子を編んでる最中なんです」
央雅くんの姪にあたる夏芽ちゃんには、思いついたようにいろいろと作ってはプレゼントしている。
人見知りもあまりない可愛い夏芽ちゃんは、周りみんなからたくさんの愛情を受けて幸せそうに笑ってる。
それが私も嬉しくて、ほんわりとした優しい気持ちになる。

