揺れない瞳



「じゃ、芽依ちゃんは五月うまれだけど何のストラップ?」

優しい声で芽依ちゃんって呼ぶ央雅くん。本当に芽依さんの事が好きなんだな。

「…芽依さんには、鯉のぼりのストラップです。どうしても欲しいって
リクエストされたんで頑張りました」

自分なりに頑張って作った鯉のぼりに、芽依さんはとても喜んでくれた。

その出来あがりが良くて央雅くんのひまわりも頼まれたんだ…。

「芽依ちゃんの携帯を今度見るよ。

多分、夏芽のおもちゃにされてると思うけどな」

「…そうですね」

ふふふと小さく笑う。

芽依さんの娘の夏芽ちゃん。
まだ一歳にもならない可愛い赤ちゃんは、みんなに可愛がられてすくすく。

「芽依さんのお兄さんにもストラップあげました」

ふと思いついて、そう言ったのは。

余計な事だったのかな。

苦しそうな笑顔に変わった央雅くんの表情に、戸惑ってしまう。