最終審査が世間でも注目を集めているものだと実感するのは毎晩パソコンでメールのチェックをする時。

大抵のメールは携帯で済ませるけれど、パソコンにもアドレスを持っている私に送られてくるメールもそこそこある。
最終審査の為に作品が展示されてからというもの、今までにない量のメールが送られてくる。
もともとそんなに友達を多くもっていない私だから、アドレスを教えている人数も多くないのに、何故か広まっているようで。

『不破さんのドレスに一票いれてきたよ』

『おめでとう。すごいねっ。』

色々なお祝いのメールが毎日届いていて不思議な感じ。
ひっそりと服を作っていたのに、こんなに派手に私の作品が公開されてしまって戸惑ってしまう。
確実に多くの人の目に触れている私の作品を、すごく遠くに追いやってしまったような寂しい気持ちにもなった。
私だけの作品じゃないんだなって。

だけど。
作品が綺麗に展示されていて、多くの人にお祝いの言葉をもらって、今までにない時間を過ごしている自分が、なんだか恥ずかしくもあって。
でもそれだけじゃない。
恥ずかしさの中に嬉しさもあって。

多くの人の中に自分の存在があるというのは、私が慣れてない温かい気持ちになるんだなと初めて知った。

今まで私には遠かった感情が順番にめぐってきて混乱してるのも確かだけど。

ほんの少し、私は一人じゃないんだなって、パソコンの向こうにいるたくさんの人の言葉のおかげで和んでしまう。

そして、最終審査に作品が残った事がきっかけで、自分自身の内面も変わり始めている。