揺れない瞳


「施設って?」

ほんの少し気遣うような口調でそう聞かれるのも慣れてるけど、このコンパという雰囲気の中では不似合だなと困ってしまう。

それでも、真摯な表情の央雅くんにはちゃんと答えるべきだと思って。
何でもないことのように。

「私、施設で育ったんです。両親はいるんですけど色々あって」

一気に軽く言い切ったのは、これ以上突っ込まれたくないから。
この雰囲気の中で詳しく話すつもりもないし、今日限り多分会わないだろう央雅くんに、聞いて楽しくない話を続けるのももうしわけなくて。

「結乃…って言ったっけ?」

「はい。不破結乃です」

「ふわ ゆいの…芽依ちゃんに会ったら言っておくよ。
コンパで会ったって」

話題が変わった。

変えてくれたのかな。

…そうに違いない。

ほんの少し気持ちが浮上した。

「芽依さん、央雅さんが八月生まれでひまわり好きだからってひまわりのストラップをリクエストしてくれたんですよ」

思い出したように、そう告げた。