揺れない瞳



「芽依ちゃんと不破さんは、どういう知り合いなの?」

表情をすっと切り替えて、歪んだ顔なんてしてなかったみたいな声は、意識的にそうしてるのかな。

少し固い笑顔を向けられて、私は言ってはいけないことを言ってしまったのかと緊張してしまう。

「芽依さんとは、旦那さんの夏基さんを通じて知り合ったんです。
以前、建築士の夏基さんにお仕事をお願いした事があったんですけど、……そのつながりで芽依さんとも仲良くなったんです」

「夏基さんに仕事……って、親が家でも建てたの?」

「あ……そうじゃないんですけど……たまたま夏基さんが力を貸してくださったというか」

途切れ途切れの私の言葉を、はっきりと理解できないのか。
央雅くんは首をかしげた。

ゆっくり箸をおき、食べる事をやめて、じっと私の言葉を聞いてくれている。
私をせかすでもなく、ただ待ってくれている。

「えっと……。私がいた施設の建物の老朽化が進んでいて……その施設を援助して下さってる弁護士の戸部先生が、息子の夏基さんを紹介してくれたんです」

こんな私の不完全な言葉で、央雅くんはわかってくれたかな。
そっと央雅くんを見ると、さっきよりも強い視線を私に向けている事に気づいて戸惑ってしまう。