気がつけば、既に放課になっていた。
 逃げるように教室を出たような気もするけど、はっきりとは覚えてない。

 あたしは例の屋上で、金網に張り付いてぼーっと空を眺めていた。水色の空が茜さすまで。


「はーるな。まだ帰らないの?」


 建付けがいいとは言えないドアを開けて、慎吾が歩いてくるのは気付いていたけど、あたしは振り返りもせず呼びかけにも応じない。

 それに気を悪くした素振りもなく、慎吾はひょこひょこ歩いて寄ってくる。んでもって、いつものキラッキラした笑顔を向けてきた。