教室中を、無責任な噂が飛び交う。
 本人たちを置き去りにして。

 普段ならそんなの右から左に聞き流せるのに、なまじ痛い真実が含まれているからやりきれない。

 『絶縁状態』――

 そう、そのとおりだ。それは何ら間違っちゃいない。

 大体、見ればわかるでしょ。毎日といっていいくらい、あの人目を惹きまくる男が教室にひょこひょこっとやって来てたってのに、それがプッツリと途切れたんだから。

 ああ、いっそ直接噂の真相をたずねてくる勇者が出てこないかな。

 もしいたら、丁寧にパンチ付きで教えてあげるのに。……あぁ、手が出そうだから誰も近寄らないのか。


 なんて、違うとわかっていながら、そう心の中で毒づいた。

 誰も近寄ろうとしないのは、あたしの隣に座っている人のせい。