最低王子と小悪魔女


 また屋上か。もっと場所を選べばよかった。

 そんなあたしの後悔なんて知る由もなく、慎吾は金網のフェンスにもたれて髪を風に遊ばせている。


 絵になるよな、ホントに。なんか映画のワンシーンみたいだ。

 だから、その隣にいるのがあたしだっていうのが不思議で……そして不釣合いなんじゃないのかなって、いつも思ってた。


 幼なじみだから、今は一番近くにいられるけど、いつかは慎吾に似合いの可愛い彼女が出来る。
 そしてそれを、あたしは寂しく思いながらも祝福して、慎吾のそばを離れるんだ。
 前はそんな風に思ってた。