昼休みも終わり間際。 ほとんどの席が埋まっているその教室は、あたしの登場で一瞬シンと静まり返った。そして波打つように広がっていくどよめき。 そんな中、居るだけで人を惹きつける姿形をした奴が、嬉しそうにひょこひょこ歩いてくる。 言うまでもなく、慎吾である。 「あれ、波月じゃん。珍しいなー波月がここに来るなんて。なに、教科書貸して欲しい?」 「あんたに用があるの。ちょっと顔貸しなさい」 「え? でももうすぐ授業が……」 「サボリだ、馬鹿! 屋上いくぞ。とっととついてこいっ!」