最低王子と小悪魔女


 やおら立ち上がったあたしに、花那は目を丸くした。
 ぱちぱちとまばたきする花那に、あたしはにっこりと笑ってみせる。


「いや、そしたら花那も安心でしょ? あたしもモヤモヤーっとしたものがなくなるし。一石二鳥じゃない」

「う、うん。まあ……そうなんだろうけど……」


 口ごもる花那は、さっきとは別の意味で不安を感じているようだ。
 顔に、『余計話がこじれそうな気が……』なんてゴシック体の太字でデカデカと書いてある。

 なんて失礼な。