苦しそうで辛そうで、でもバスケットゴールを見上げる目だけは、まっすぐで揺るぎない。 人と争うことなんて今までなかった慎吾に、こんな顔をさせているのが自分だと思ったら、たまらないのだ。この上なく。 「つらくても、君は見届けなきゃ。 わかるね?」 「はい――そのつもりです」 でも、どちらが勝っても、とてもじゃないけど心穏やかに慎吾と顔を合わせる自信なんてなかった。