最低王子と小悪魔女

「ああ。この学校で知らない奴いないんじゃないか? なにしろあの外見だけで目立つからなー」


 確かに。廊下でちょっとすれ違っただけでも、確実に振り返るほど惹きつけられるものがある。

 ただルックスやスタイルが人並み優れているだけじゃなくて、生まれ持った独特の雰囲気というか。


「それに、最近よくない噂もあったしな。でも、今日でそれがウソだってわかったけど」

「どの噂かはわかりませんが……複数の女の子を泣かせてる、最低野郎っていうのは事実ですよ」


 慎吾の名誉もくそもない。あたしは正直に真実を告げた。だけど、中城先輩は意味ありげに笑って肩をすくめてみせる。
 ……なんだかなあ。