最低王子と小悪魔女


 ああ、気が付けば、慎吾ファンの女の子たちも集まってきてるみたいだ。さっきまであたしがいた場所にも、ちらほら人影が見える。

 想像をはるかに超える騒動になってしまったことに気付いて、あたしはまたまた、二人を止めなかったことを後悔した。


「っはー、さすが噂に聞く矢柴慎吾。ギャラリーの数がとんでもないことになってるな」

「え、慎……矢柴君って、3年でもそんなに有名なんですか?」


 矢柴君、だなんて自分で言って鳥肌が立ったぞ。
 そんなあたしの心境など知る由もなく、中城先輩はうなづきを返す。