『桜宮中学校』と書かれた校門の前、私、高野 秋穂(コウノ アキホ)は怒鳴りだす寸前の状態で、目の前にいる集団を睨んでいた。



派手なメイクに明らかにつけすぎと思われる香水の臭い。
どこからどうみても邪魔だろう、校門の前で立ち止まっている女達。

そしてそれに絡まれているらしい、整った顔の美少年。


(邪魔なんだけど、さっきから)

イライラとする気持ちを隠しもせず、私は前の集団を見ていた。





「……ねぇ」


私が見ていた限りでは、何も話さずに黙っていた美少年が、透き通るような声を出した。

「はっ…、はいっ!!」

突然美少年が声を出したからか、少しどもりながら返事をする女達。


そんな彼女等を冷ややかな目で見、さっきよりも低い声で

「迷惑。邪魔。だからもう行って」

と、吐き捨てるように言った。