天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ

毒でやられるのは怖い。

しかしこのままでは雛菊の方が噛まれてしまうかもしれない。

こんなジャングルの中で、もしタランチュラに噛まれたりしたら治療は間に合わない。

「お願い…お願いだよぉ…」

ボロボロ涙をこぼして震える雛菊。

その涙に、秋帆の『怖いか怖くないかメーター』の針が、一気に『怖くない』の位置を振り切る!

「待ってて下さい雛菊ちゃん!僕が今すぐ…!」

意を決して、雛菊の手からタランチュラを追い払おうとする秋帆。

その時だった。

「ヘタレ」

いきなり樹上から聞こえてきた声。

同時に人影が飛び降りてきて、雛菊の手からヒョイとタランチュラを摘み上げる。

「タランチュラが猛毒っていうのは迷信だよ。コモリグモ科の毒はヒトに対しては特に毒性がなく、ハチに刺されるほど痛くもないんだ」

そう言って三人に説明したのは、出麼の体に巻きついた甃だった。