天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ

ガサガサと熱帯特有の植物の茂みを掻き分けて、八鶴、秋帆、雛菊の三人はジャングルの中を進む。

彼らは出麼のように身軽ではない。

木から木へという移動は出来ないのだ。

日差しさえ遮るような鬱蒼と生い茂った密林の中。

高温多湿、あっという間に制服は汗でジットリと濡れる。

「こりゃキッツイなぁ…よぅこないな所に来る気になるわ、出麼さん」

顎に滴る汗を拭いながら八鶴が言う。

「ち、ちょっと…秋帆君」

雛菊が振り向いて、後ろを歩く秋帆の顔を見た。

「怖いのはわかるけど、いきなり手ぇ繋がないで」

「え?」

キョトンとする秋帆。

「せめて一言言ってからにしてよぉ…いきなり握られたらビックリするじゃない…」

「え、いや…」

「でも秋帆君の手って、意外と毛深いのね…なんか細かい毛がビッシリ生えて…」

「あのっ、雛菊ちゃん?」

秋帆は彼女によく見えるように、両手を挙げた。

「僕、手なんか繋いでないですよ?」