天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ

流石にこんな不気味なジャングルに分け入るのは躊躇われるが。

「…行こうや」

八鶴が言う。

「出麼さんに何かあったら、あの時追えばよかったて絶対後悔するで。今なら間に合うかもしれへん」

仲間思いの八鶴らしい考えだ。

「秋帆、お前の本で得た知識も役に立つかもしれへん…力貸してくれ」

「……!」

八鶴の言葉に、秋帆はハッとする。

自分の力が求められている。

怖いか怖くないか…秋帆の普段の判断なら、迷わず『怖い』で却下される、ジャングル内への侵入。

しかし。

「わかりました、行きましょう」

そんなヘタレの秋帆にそう判断させたのは、八鶴からの信頼の眼差しだった。