天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ

「実は雛菊ちゃん、秋帆めっちゃヘタレやねん」

何を思ったのか、いきなり秋帆の評価を下げるような発言をする八鶴。

「基本怖いか怖ないかで物事決めるさかいな、アイツ」

「へー、そうなんだぁっ」

クスクス笑う雛菊。

(あぁぁっ、雛菊ちゃん笑ってるじゃないかっ!八鶴君、君は僕の味方じゃなかったのかっ!)

後ろの席で頭を抱えて悶絶する秋帆。

何かにとり憑かれたのかと、万里が冷たい視線で見つめる。

が。

「あんなクールな感じなのに、小心者って何か可愛いねぇ。ちょっと安心するかも」

(お?)

雛菊の意外な反応に、秋帆は目を丸くする。

これもまた八鶴の話術の一つ。

敢えて弱味を見せる事で親近感を持たせる。

完全無欠なだけでは、とっつきにくいものだ。