しかしその一方で。

(もし強力なライバルが現れたら、ビビリの秋帆君としてはどうするのかなぁ…?)

などと悪戯を思いついてニシシと笑う。

生真面目でどちらかと言えばお堅い妹の玲菜と違い、真菜は奔放な性格だ。

金髪で、眼光が鋭く、玲菜と反対の目に眼帯をしている真菜。

だが見かけによらず子供のような性格をしている。

人を驚かせたり、からかったりは彼女の十八番なのだ。

「あ、ごめん、ちょっとトイレ」

秋帆との会話の途中で席を立つ雛菊とタイミングを合わせて。

「チカ、ちょっとお手洗いいってくる」

鞄片手に立ち上がる真菜。

(ははぁん…)

お手洗いに行くのに、本来鞄は必要あるまい。

チカはすぐに、真菜の『作戦』に気づいてニヤニヤ笑った。