天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ

「……」

誰も万里に話しかけてこない。

いつまで経っても、妹に関して話を切り出す者はいない。

(……あれ?)

珍しく万里の予想が当たらない。

それどころか。

「じゃあ、みんな後でねぇ」

それぞれ仲のいい者同士に分かれて土産物屋に向かう面々。

何故か万里にだけは誰も声をかけないまま。

「……」

幸福体質でいつも誰かしらにチヤホヤされる筈の万里は、不思議な事に一人だけ取り残されてしまった。

(ま…いいけどね…)

たまには単独行動もいいものだ。

いつもいつも喧しいのに引っ張りまわされるのも疲れるし。

持っていたポテトチップスの封を破ってパリパリ摘みながら、万里は一人で土産物を探す事にした。