天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ

が、その微笑の下で、月は全く別の事を考えている。

…擦れ違い様、月は兵士達の心を『読んで』いたのだ。

(中東から発射されたミサイルが、このムカッチャパピリアに飛んできている…ですって?…成程…先日某国から強奪されたというミサイルの事ですね…という事は、テロかしら…)

しかし、彼女はこんな緊急事態を知ってしまったというのに然程動揺していない。

テロである事を知ると同時に、既に天神学園の『あの生徒』が、裏で事前に手を打っている事を、兵士の心を読んで知っていたからだ。

今朝はやたらと兵士が多いのも、その事前の準備のお陰。

流石は『世界の黒幕』ともいうべき『あの生徒』。

その権力の大きさに驚くと同時に、仕事の早さに感服する。

恐らくは、そのミサイルとやらも未然に防がれるだろう。

(それに…)

月は前を歩く幸福体質の少女を盲目の瞳で見つめる。

(頼りになる人もいる事ですしね…)