天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ

やれ土産物屋巡りだ海水浴だと、班のメンバーは好き勝手に騒ぐ。

(やれやれ…)

食事を終え、食後のデザート代わりに板チョコを齧りつつ、万里は憮然とする。

機嫌が悪い訳ではない。

誘われるのも、楽しい事になるのもわかっている。

(だって幸福体質だもの、私。何でも上手くいくわ。上手く行き過ぎて怖いくらいに)

部屋で寝ているなんて天邪鬼な事を言ったのもわざとだ。

絶対に誘われるのが分かっていたから。

万里のより良い方向に、嫌でも行動が修正されてしまう。

だからこの上手く行き過ぎる体質に、少し反発してしまいたくなるのだ。

捻くれた態度をとってみただけ。

万里も表情にこそ出さないものの、修学旅行は嬉しいし楽しみなのだ。

…喧騒と歓声で賑わう食堂。

その食堂で流れるテレビのニュースの声は掻き消されていたが、『某国から強奪されたミサイルが中東から発射された』という話題に触れていた。