そこにはゼェゼェハァハァと息を切らしている、隣人の重屋さん。

重屋さんは俺より四歳年下の十九歳。
十九歳には見えねーけど。


重屋さんを最初見た時、『絶対俺より年上だ、話づれー』とか、『二十代後半……いや三十代か?』とまで思った。
全部敬語で挨拶したね。
今となっては大後悔。

でも、今でも重屋さんって呼ぶ俺……。
弱い奴。



「何?」



ふぁ~っと煙草の煙を重屋さんの顔に掛けながら、問う。

重屋さんは目をきゅっと瞑って、煙を避ける。
そして、目を開けたかと思うと俺に抱きついて、こう言った。



「筒井ー! お、俺寂しかったぞー!」



何で年下の重屋さんが呼び捨てするんだろうな。
ま、いいけどさ。



「一緒に寝よーぜえええ」

「無理」



重屋さんは、即答されて驚いたのか嫌だったのか、どっちでもいいけど、目を丸くした。



「悪いけど、俺もおーとーこー。男と寝るくらいなら女と寝る」



俺はそう言い残し、やっと自分の部屋に帰宅する事が出来た。