「ちょ、こないでよ」 これ以上もう下がれない。 私のすぐ後ろには、 ひんやりと冷たい壁。 前には、真剣な顔をした桜井くん。 これは、やばい。 桜井くんが一歩、また一歩と近づくにつれ、 焦りが増していく。 「ほんとに待って… みんないるし……」 そう言ったのとほぼ同時に、 桜井くんの手が私の頬に触れた。 顔を近づけて、言う。 「じゃ、誰もいないとこならいーんだ?」 クスッと笑う桜井くん。 呆れる私。 「そーゆー意味じゃないんだけど」