「聡くんっ」 さっきまで私を睨みつけていた女子たちの視線は、 桜井くんへと移されていた。 語尾にハートマークが 5つほど付きそうなくらい甘いこえで 桜井くんの名前を呼んでいる。 ……あほらし。 ため息をついて、 席に戻ろうとしたとき 桜井くんに手首を捕まれた。 「…離してよッ」 私は必死で抵抗したけど 抵抗すればするほど力を強めてくる。 そして、 囁く。 「俺から逃げられるとでも思ってんの?」