修学旅行を安全かつ円満なものにする為に、そんな双子を同じ班にするのは当然と言えた。

しかしながら。

「それってさぁ、どーせ厄介者を誰かに押し付けたいだけでしょう?」

言うまでもないが、この幸多万里という少女、性格が屈折気味なのである。

加えて。

(不幸になりたくない不幸になりたくないっ!)

軽度のビビりでもある。

「嫌だ有り得ない意味わかんない最悪」

幸福体質の彼女の口から“最悪”等という単語が出るとは。

恐るべし、班決め!
恐るべし、幸多千歳!



「千歳ちゃんはどう?万里と同じ班じゃ嫌だ?」

「アハハハ、私は別にどっちでも構わないけどね」

ケラケラと軽快に笑いながら、千歳はアリスカの問に答えた。

(邪魔者扱いされてんのに何笑ってんの!?アンタホントに意味わかんない)



その後、クラスの女子達と万里は、いつまで経っても平行線のまま。

そんな中。

「皆さん、ここは公平に、くじ引きで決めるというのは如何でしょう」

学級委員、アルフレド・バルツァーの鶴の一声が教室に響く。