「わ、わかった」
尋常ではない妹の笑顔に双子として何か感じたのか、万里はビビって荷物を広げたまま部屋を出ていく。
ドアが閉まり姉が居間へ行ったのを確認した途端、その妹の笑みが、まるで仮面を外したかのように
消えた。
「ふざっっっっけんなよ馬鹿姉が」
決して聞き間違いなどではない。
「この私が三千円も出して買ったオシャレ鏡がお前の絆創膏発言ごときのせいで台無しだよ阿呆が」
バイトもしていない高校生にとって、三千円とは結構な大金だ。
炊きたての御飯から上がる湯気の如く、千歳からどす黒いオーラが漂いだす。
怖い。
とりあえず怖い。
とんでもなく怖い。
とにかく怖い。
どんな風に怖いかは各々のご想像にお任せするとして。