何かを思い切り踏んでしまったようだ。



足を退かすと、そこには例の鏡が…。

言うまでもなく、どうしようもない規模で割れている。



「あ、アハ……ハハ……ハ」

千歳、顔面蒼白。

相当なお気に入りの品だったらしい。

それ程の品が何故足元なんかに落ちていたのかについてはノータッチな方向で。



縋るように姉を見つめるが。

「残念だけど……こればっかりはいくら私でもどうにも……」

まぁ当然と言えば当然。

幸福体質だろうが不幸体質だろうが、直せない物は直せない。



沈黙が数秒、いや数分続く。

……そして漸く。

死んだように俯いていた千歳が顔を上げ

「ちょっと……一人にしてくれないかな」

怖い位の笑顔で呟いた。