「誰?」

不機嫌そうに僕を見上げる。

「おばさんです」

「おばさん?」

「はい。では、そろそろ僕は行きますね」

「美香も行く」

そう言って嬉しそうに腕を組んできた。

僕は、さっきと同じようにクスッと笑って、そっと髪にキスをおとした。



「あ、すみません」

歩きはじめたとき、男子校生と肩が少しぶつかった。

「いえ」と返事をすると、男子校生は何故か悲しそうな表情をして、通り過ぎていった。