夜の風が、僕の頬を撫でる。


皆寝静まっている時間に輝く街の光。
何かを求めて彷徨う人たち。

僕もその一人。


「あっ!凛くんだぁ!」


後ろから猫撫で声が聞こえたかと思うと、抱きつかれた。


「美香さん」

「やだ、みーちゃんって呼んでって、言ってるじゃん」


甘ったるい声に、甘ったるい匂い。

僕はニコリと微笑み、腰に腕をまわした。


「今夜も遊んでくれますか?」

「えー、どうしよっかなぁ」

上目遣いで僕を見るその顔が、僕に何を求めているのか、手に取るように分かってしまう。

いつものことだった。


「お願いしますよ」

「・・・ん」


僕はそっと、唇をあてた。