暗闇にぼんやりと浮かぶ、金色の月。


手を伸ばせば届く気がして、ゆっくりゆっくり近づける。


あと、少し・・・。


















「いつまで寝てるんですか?」


とても冷たいのに、どこか心地良く、甘い声が耳に響く。


私は、夢を見ていたようだ。





「凛(リン)・・・おはよ」


「もう昼です」


「月みたい」


「はぁ?」



凛の、ふわっとゆるいパーマがかかった金色の髪が、窓から差し込む春の優しい陽に照らされて、夢で見た月のように綺麗だった。



「寝ぼけてないで早く起きて下さい」


「もうちょっとだけ寝かせて」


「ダメです。今日僕が洗濯担当なんですよ。片付かないじゃないですか」


「うーん・・・」


「あなたの汚れたパジャマも洗わないといけないんですから」


「だから、あとちょっとだけ」


「・・・襲いますよ」


「はい、起きます、起きました」