「あんな表情……?」
さっき隼人があたしに向けていた表情を思い出してみたけれど、いつもと変わっている所はほとんど無い。
隼人……何かおかしかった?
「え?もしかして隼人……アンタには…いつもあんな表情………
「黙れ」
直紀さんの声を遮って隼人の声が聞こえた瞬間、視界から直紀さんが消える。
「バカはほっといて行くぞ」
直紀さんを殴った隼人はそう言って、あたしの手を取る。
手が触れ合った瞬間、ドキドキと早くなる心臓。
ねえ、隼人………。
最初会った時は、あたし達…嫌いあってたんだよ……?
自然と手を繋げるようになった、今でも………そう?
隼人の気持ちは変わってない?
あたしはーー………。
屋上から校舎へと入り廊下を歩き出す。
目の前には大きな背中。

