すっかり馴染んでしまった病室のベッド。



私はその上に置かれたたくさんの荷物をチェックした。


そんな私の後ろ姿をみて、美代ちゃんはわざとらしく嘆く。



「あ~あ、寂しくなるわ~あ」

「美代ちゃん、会いに来てね!」


「…あんたが来なさいよ」




しかたないな~。

1ヶ月に1回、だけなら…(定期だから)




「杏梨ちゃん、あんた身体弱いのは変わらないんだからね」

「わかってる〜」

「ほどほどにはしゃげ!」

「ほどほどにはしゃぐぅ〜」




初めて会ったときはまだ研修中だった美代ちゃん。

あのときよりも少し大人っぽくなったな…。



でも、サッパリした雰囲気とか、

実は口が悪いところとか、

私の血のつながってないお姉ちゃんみたいなところとか、




「…変わんないなぁ~」

「若々しいまんまでしょ」

「……」

「そこで黙ってんじゃないわよ」




ふふっ、とどちらともなく笑う。



でもあんたはほんと成長しないわね、とあたしの頭に手を置いて目線を私の胸元に落としながらいう美代ちゃんを殴ろうとして、ひょい、と避けられる



「美代ちゃん~っ!!」

「あはは、…本当、寂しくなるなー…」



「…うん」



私も寂しいよ。



毎日会うことがあたりまえだったもん。




でも、もうこの部屋に来ないようにしたいな。



バイバイ。



私専用の、病室。