会社に着くと、守衛室を通りエレベーターに乗る。

いつも通りの光景。
いつも通りの周囲の反応。

不安などすっかり忘れていた。


扉を開けると、昨夜からの高揚した気持ちも手伝い、満面の笑顔で挨拶をした。
周りの皆も、いつも通りの挨拶を返す。

そして由紀が室内に一歩踏み出そうとした時だった。

「うふふ…」

……!?

突然に、意図せず自分の口から発せられた笑い声に、由紀は戸惑った。

「うふふふふ…」

私…何で笑ってるの!?

「あはははは!」

と、止まらない!


突然響き渡る笑い声に、周囲も不審そうな目で注目している。
いたたまれず、由紀はその場から駆け出した。