これは私に救いの手が差し伸べられたに違いない。
それが憐れみでも構わない。
もう何にでも縋りたい。

洗面台に向かった由紀は、恐る恐る仮面を装着してみた。
それは型を取った訳でもないのに、まるで吸い込まれるかのように、顔に馴染んでいった。

由紀はゆっくりと顔を上げ、鏡の中の自分の顔を覗き込む。
その瞬間に、思わず息を飲んだ。

そこには別人のような自分がいた。
いや、正確には顔そのものは、紛れもなく自分のものだ。
しかし圧倒的に何かが違っていた。