家に帰り着くなり、ソファーへと倒れ込む。

普段なら職場からの解放や、煩わしい人間関係から抜け出した安心感を、噛み締めながら心身の回復を待つ。

しかしこの日は違った。
ほどなく例の仮面の存在を、思い出したのだ。

改めて手にしてみると、本当に不思議な代物だ。
とてもこの世の物とも思えない。
何の根拠もないのだが、そう思わずにはいられなかった。

そんな考えに至ると、由紀は開き直った。