もうすぐ、出口だ… 「ヨウ兄…。」 「ん?」 「あたし、ヨウ兄の妹に生まれて、よかったよ。」 「俺もだよ。」 そう言って、もう一度確かめるようにヨウ兄の手を強く握りしめる。 ギュ、と応えるように握り返され、 それから、どちらからともなく、手を離した。 二度とこの手を握ることはないんだろうな、と頭痛のひどい頭で考えたよ。 だいすきだよ、おにいちゃんー。 ヨウ兄がこちらを振り返り、少し悲しそうに、優しく、笑った。