その日の学校帰り、純は警察署に向かっていた
警察署に行くなんて初めての事だ
なんだか緊張する

(順序立てて、キチンと説明しないと)
あの男が、死体をどこかへ移動した可能性もある
いや、その可能性の方が高い

鋭く深淵な目を思い出し、純は男が死体をそのままにしておくとは考えていなかった

死体がなかった場合、一介の女子高生の言葉を、警察がどこまで信じてくれるかわからない

歩きながら説明する言葉を選ぶ純







― 目の前に、メガネをかけたサラリーマン風の男が立った

(???。なんでこの人あたしの前に・・・)

サラリーマンが深く静かな声で
「森純。丸川学園高等部、生徒会長。友人も多く、教師からの評価も高い。三人家族。父は銀行員、母は専業主婦」

純はメガネの奥の瞳を見つめた

深い闇を称えた目だった

殺人現場を目撃した、あの夜と同じ・・・

純は目の前が真っ白になった